弁護士法人中部法律事務所の法律相談からご依頼までの手続きや弁護士費用等に関するよくあるご質問です。
可処分所得とは、所得から、一定の計算式に従って算出される生活費など必要費をさしい引いた金額をいいます。所得から必要な支出を引いて自由に使える分のことをいいます。
給与所得者等再生では、清算価値又は最低弁済額又は可処分所得の2年分のうち、一番高い金額を返済する必要があります。
可処分所得は、
収入-(税金や社会保険料 + 最低限の生活費)
で算出されることになっています。
ここでいう最低限の生活費は、扶養家族の人数や年齢、地域性、物価などの諸事情を勘案して計算されることになっています(民事再生法241条3項)。
具体的な計算方法は、「民事再生法第二四十一条第三項の額を定める政令」に規定されています。ここでは、再生債務者の居住地域、扶養家族の年齢と人数に応じて生活費が算出されるほか、冬季の特別生活費や、地域ごとの住居費、収入に応じて必要となるであろう経費などが定められています。
具体的な可処分所得の計算は、弁護士にご相談ください。
清算価値とは、自己破産する場合でも自由財産として処分せずに済む財産を除いて、自分の財産をすべて換価処分した場合に得られる金額をいいます。
再生手続きでは、再生計画における返済金額の総額は、この清算価値より高くなるようにしなければなりません(清算価値保障原則と呼ばれています)。
つまり、債務者が破産手続きを選んだ場合に、債権者に配当される金額より多い金額を、再生手続きでは返済しなければなりません。
債務者が個人再生するより、破産した方がたくさん返済を受けられるならば、破産手続きの方が債権者の利益になります。破産の方が再生より債権者に有利ということは、その再生手続きは、債権者の利益に反するということになります。民事再生では、債権者の一般の利益に反する再生計画は、裁判所の許可が得られません(民事再生法174条2項4号)。
民事再生法は、清算価値保障原則により債権者の保護を図っているのです。
小規模個人再生では、清算価値(⇒清算価値とは)又は最低弁済額(⇒最低弁済額とは)いずれか高い方の金額を返済する必要があります。
、給与所得者等再生では、清算価値又は最低弁済額又は可処分所得(⇒可処分所得とは)の2年分のうち、一番高い金額を返済する必要があります。
最低弁済額とは、個人再生手続きにおいて、最低限返済しなければならない金額のことです。
個人再生とは、法人ではなく個人が行う、民事再生法により、債務を大幅に減額する裁判手続きです。
債務を大幅に減額する上で、民事再生法は、最低限返済しなければならない返済金額を定めています(231条2項、241条2項)。
最低弁済額は、次のとおり、負債の総額に応じた金額です。
・100万円未満の場合 負債総額全部
・100万円以上500万円未満の場合 100万円
・500万円以上1500万円未満の場合 負債総額の5分の1
・1500万円以上3000万円以下の場合 300万円
・3000万円を超え5000万円以下の場合 負債総額の10分の1
なお、小規模個人再生と給与所得者等再生いずれの手続きを取ったとしても、最低弁済額以上の返済をしなければなりません。
個人再生でどのくらい借金が減るかは,元々の借金の額,再生債務者の清算価値の額及び給与所得者等再生手続きを取る場合は2年分の可処分所得の額によります。
個人再生では,清算価値、最低弁済額,可処分所得2年分(給与所得者等再生手続きの場合。)のいずれか高い金額を返済しなければなりません。
したがって,個人再生の借金などの債務の減額率は,元々の債務の額と,いずれの金額を返済するかによって変わることになります。
例えば,小規模個人再生をとる方で,
●借金500万円,清算価値85万円の方は,
最低弁済額(100万円)>清算価値(85万円)なので,返済額は100万円になります。
つまり,借金の減額率は80%になります。
●借金400万円,清算価値85万円の方は,
最低弁済額(100万円)>清算価値(85万円)なので,返済額は借金500万円の方と同じ100万円ですが,借金の減額率は75%になります。
●借金400万円,清算価値150万円の方は,
最低弁済額(100万円)<清算価値(150万円)なので,返済額は150万円になります。この方の借金の減額率は,62.5%です。
以上のとおり,個人再生すると借金がどのくらい減るかは,事案によって異なりますので,詳細は,弁護士にご相談下さい。
サラリーマンなど給与所得者が行うことを念頭においた民事再生手続きであるため、給与所得者等再生手続きと呼ばれています。もっとも、給与所得者でなくとも手続きの利用は可能です。給与所得者等再生手続きよりも返済金額が高くなるため、再生計画案に反対する債権者がいるなどの事情がある場合に利用されています。
個人再生とは、法人ではなく個人が行う、民事再生法により、債務を大幅に減額する裁判手続きです。
個人再生には、小規模個人再生手続きと給与所得者等再生手続きという2つの手続きがあります。
給与所得者等再生手続きは、サラリーマンなど給与所得者で、定期的な収入があり、収入の変動幅が小さい人が再生手続きすることを想定して作られた手続きです。
給与所得者等再生手続きでは、小規模個人再生手続きと異なり、再生計画案について、債権者の同意はいりません。債権者の反対があっても、手続きを進めることができます。
そこで、小規模個人再生手続きと比べて、債権者の利益を著しく害することのないように、給与所得者等再生手続きの方が厳しい要件がつけられています。
具体的には、給与所得者等再生手続きの場合、収入要件として、定期的かつ安定した収入が将来にわたって見込まれることだけでなく、収入の変動幅が小さいことが求められます。
また、再生計画による返済金額も、可処分所得の2年分が返済金額とされ、高額となる場合があります。また、可処分所得が低い場合であっても、小規模個人再生手続きによる返済額以上でなければならないとされています。
小規模個人再生は、個人再生手続きの1つです。
小規模な個人事業者が行うことを念頭においた民事再生手続きであるため、小規模個人再生と呼ばれています。もっとも、個人事業者でなくとも手続きの利用は可能です。多くの場合、給与所得者等再生手続きよりも返済金額が低くなるため、小規模個人再生手続きを利用する方が多いです。
個人再生とは、法人ではなく個人が行う、民事再生法により、債務を大幅に減額する裁判手続きです。
個人再生には、小規模個人再生手続きと給与所得者等再生手続きという2つの手続きがあります。
小規模個人再生手続きは、小規模な個人事業者が再生手続きすることを想定して作られた手続きです。けれど、実際は、小規模個人再生手続きの方が再生計画に従った分割返済が少額ですむため、個人事業者に限らず、サラ―リーマンやパート・アルバイトなどの給与所得者の方などにも広く利用されている手続きです。
ただし、小規模個人再生手続きでは、再生計画が認められるために、過半数及び過半額の債権者が、再生計画案に反対しないことが必要です。つまり、過半数を超える多くの債権者または債権額の過半数を占める大口の債権者が、再生計画案に反対する場合は、再生計画が認められません。再生債権者の「反対はしない(異議は出さない)」という消極的同意が必要です。
金融機関や貸金業者の中には、顧客が個人再生をするときは必ずといっていいほど反対する(異議を出す)という企業・団体があります。債権者の中にこれらの企業・団体が含まれている場合、小規模個人再生手続きは回避した方がよいでしょう。
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類の手続きがあり、それぞれ要件が異なります。ですが、両手続きに共通の要件として、次のものがあります。
①再生手続開始原因がある
②借金など負債の総額が5000万円以下であること
③定期的かつ安定した収入が将来的に見込めること
④再生手続開始申立てを棄却する事由がないこと
①再生手続開始原因
次の2つのいずれかの状況が必要です。
●破産のおそれがあること(民事再生法21条1項)
このままでは経済的に破たんし、債務超過又は借金の返済が不能(支払い不能といいます)になり、破産するおそれがあることが必要です。なお、すでに債務超過、支払不能になっている場合も含むとされています。
●返済期限の到来した支払いについて、事業の継続に著しい支障を生じさせることなく、支払うことができないとき(同条項)
事業に必要不可欠な資産を売却しなければ、期限の到来している債務について支払いできないなどの状況にあることが必要です。
②負債の総額が5000万円以下であること
負債総額が5000万円以下であるとは、負債の元本だけでなく、未払い利息、再生手続開始決定までの遅延利息なども含めて、5000万円以下である必要があります。
他方、この5000万円の中には、担保権のついている負債は含まれません。住宅ローンは、通常、抵当権がついていますから、ここには含まれません。
サラ金からの借金など、無担保の負債が、未払い利金や遅延利息なども含めて5000万円以下であることが必要です。
③定期的かつ安定した収入が将来的に見込めること
再生計画に従って分割返済しなければならないため、この要件が必要です。ここでいう安定した収入は、再生計画に従った分割返済をするのに十分な金額の収入が安定してあることが必要です。したがって、具体的な金額は、事案によって異なります。
適法な収入が安定的・定期的に得られるのであれば、収入の内容は問いません。必ずしも給与である必要はなく、例えば、年金や同居人からの生活費の組み入れ分、親族からの援助などでも構いません。
④再生手続開始申立てを棄却する事由がないこと
民事再生法は、次の事由があるときは、再生手続開始申立てを棄却するとしています(25条)。
・再生手続きに必要な費用が納められていない
・すでに破産等の手続き中であり、破産等の方がよいとき
・再生計画が通る(再生計画案が作成できない・可決又は認可されない)見込みがないことが明らかである
・不当な目的、その他不誠実な再生手続開始の申立てである
以上の内、いずれか1つでも該当する事由があれば、再生手続きはできません(棄却されます)。
個人再生とは、借金の返済が不可能となるおそれのある場合に、裁判所に個人再生手続きを申し立て、一定の最低弁済額以上かつ清算価値(財産の評価額)以上である計画弁済総額を原則として3年間で分割返済する再生計画を裁判所に認可してもらい、残りの借金の支払義務の免除を得る制度のことです。 自宅を残す方法もあり(住宅資金特別条項)、定期的かつ安定した収入が将来的に見込める方のみ利用可能です。
(少し詳しく)
個人再生とは、法人ではなく個人が行う、民事再生法による裁判手続きです。
経済的に破たん、借金など債務全てを返済できない状態に陥るおそれのある場合に、個人再生手続きによって、債務を大幅に減額する手続きです。
減額した分の借金を原則として3年の分割で返済することを裁判所に認めてもらい、減額前の残りの借金について、返済義務の免責を受けます。
手続きとしては、小規模個人再生手続きと給与所得者等再生手続きという2つの手続きがあります。
また、住宅資金特別条項と呼ばれる規定もあります。この規定を利用することにより、住宅ローンの残っている住宅を残す方法もあります。
減額した借金を分割で返済の上、減額前の残りの借金の返済義務を免れる手続きですので、定期的かつ安定した収入が将来的に見込める方のみ利用することができます。
主なメリットは下記のとおりです。
1.再生計画案の弁済額以外の借金の支払い義務が免除となります。
2.住宅を保持できる場合があります(住宅資金特別条項)。
3.職業制限がありません。
4.免責不許可事由がある場合でも利用可能です。
主なデメリットは下記のとおりです。
1.官報に再生債務者の氏名住所が掲載されます。なお、戸籍や住民票には記載されません。
2.信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に事故情報が登録されます。
(詳しい解説)
●個人再生のメリット
個人再生のメリットは、一部の例外を除き、借金を大幅に減額できる点にあります。借金を大幅に減額できる点で、有効な債務整理の方法といえます。
減額された借金について、原則として3年の分割で返済できる点もメリットとして挙げられます。
免責不許可事由があるため自己破産することができない方でも、個人再生をすることはできます。個人再生には、免責不許可事由のような制限はありません。
さらに、自己破産と異なり、手続き中の職業・資格制限もありません。
また、自己破産の場合は自由財産として認められた財産以外は処分する必要がありましたが、個人再生では、財産を保有したまま手続きを進めることも可能です。ただし、財産を保有する場合、保有している財産・資産価値以上の返済をしなければなりません(清算価値保障原則と呼ばれています)。
加えて、個人再生では、住宅資金特別条項という自己破産にはない特別な制度があります。この制度を利用すれば、住宅ローンの残っている住宅を処分することなく、借金など債務を整理することができます。
その他、個人再生を弁護士に依頼することで貸金業者からの取立て、貸金業者への返済がストップすることや、裁判所に個人再生を申し立てること貸金業者など債権者から給料や預金を差押えられなくなることも、メリットとして挙げられます。
●個人再生のデメリット
個人再生でも、自己破産と同様に
・官報という国の発行する機関紙に個人再生した事実が掲載されます
・信用情報機関(ブラックリストと俗称されています。)に登録され、5年~10年程、借金やローン、クレジットカードの利用が制限されます。
自己破産と異なり、全ての借金の支払い義務が免除されるのではありません。減額された借金を返済していなかなければなりません。そのため、個人再生を利用できるのは、定期的かつ安定した収入が将来的に見込める方に限られます。
多くの事案では、借金の総額が100万円以上500万円未満なので、最低弁済額は100万円になります(借金の総額が500万円以上1500万円未満の場合、最低弁済額はその5分の1です)。ただし、債務者の資産(正確には清算価値)が最低弁済額を超える場合には、その資産(清算価値)額を返済しなければなりません(清算価値保障原則)。 返済期間は原則3年間ですが、特別の事情がある場合には5年間まで延長することができます。
(詳しい解説)
分割返済は,原則として3年ですが,3年で返済することが困難な特別な事情がある場合、分割返済を5年まで延長することも可能です。
個人再生の返済計画は,3か月に1回以上の頻度,原則として3年の分割払いにする必要があります(民事再生法229条2項,244条)。
ただし,「特別の事情」がある場合には,5年を超えない範囲で分割払いにすることができます。
ここでいう「特別の事情」は,比較的緩やかに解釈されています。
具体的には,家計の改善に努めたとしても,収入等が低く,3年間では支払いができない,または,支払いが困難である,といった事情があれば,5年の延長が認められるでしょう。
個人再生では,再生計画に従った返済をきちんとすることが大切であり,裁判所も,無理のある返済計画は認可しません。
3年では難しいけれど5年なら返済できる,あるいは,3年の返済計画よりも5年の方が無理なく返済できるという場合は,無理せず,5年の返済計画にすることを検討しましょう。