取締役(役員)は、「任務を怠った」と認められるとき、その任務懈怠により生じた損害を、会社に対して賠償する責任を負います(会社法423条1項)。任務懈怠とは、取締役として尽くすべき善管注意義務に違反する場合のことです。経営判断上のミスが「任務懈怠」に該当するかの判断ついては、行為当時の状況に照らして合理的な情報収集や調査、検討が行われたか、その状況と取締役に要求される水準に照らして不合理な判断ではなかったかに基づいて行われます。 任務懈怠が認められる場合には、株主(公開会社の場合には6ヶ月前から引き続き株式を保有している株主)はまずその会社に対し、取締役に損害賠償請求するよう請求します。その請求の日から60日以内に、請求された会社が取締役に対する損害賠償請求をしない場合は、その請求をした株主が、会社のために取締役に対して責任追及などの訴えを提起することが可能です。但し、60日を待っていては会社に回復することができない損害が生じる虞がある場合、株主はすぐに取締役に対して責任追及などの訴えを提起することができます。